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zoom RSS 【日経新聞読み方講座】 米国経済指標を知ろう−ついでに財政の崖も

<<   作成日時 : 2012/09/19 08:00   >>

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日経新聞読み方講座第三弾。今回は、「米国の経済指標」について解説していきたいと思います。日本経済新聞朝刊では、毎週月曜日(祝日の場合には翌日火曜日)の16〜18面あたりに【景気指標】が掲載されています。【景気指標】の右上部分には『米国』と記載のある部分があります。ここには、米国の重要な景気指標・経済指標が掲載されています。この部分を見ることで、現状米国の経済状況はどうなのか、過去と比べてよいのか悪いのか、どんな産業が調子が良いのかなどを把握することができます。初級編ですので、細かい部分は省いて、主な掲載内容とその指標の意味について解説します。

■米国の景気指標解説

景気指標「米国」部分を見ると、数多くの指標が掲載されています。ここではその中でも、是非皆様に見ていただきたい主な指標(株式や為替に影響を与えやすい指標)について解説します。

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●国内総生産
 米国景気指標の一番左上に、「国内総生産(GDP)」が掲載されています。米国のGDPは世界第一位であり、圧倒的な数字を誇っているといえます。以前のコラムにて、日本のGDPは世界第三位と記載しましたが、その第三位であるわが国のGDPのおよそ2.5倍が米国GDPなのです。ダントツ一位なのがよくわかっていただけると思います。
 米国GDPは、世界のGDPのおよそ25%ほどを占めています。つまり、世界経済の1/4をたった一国が握っているといえます。ここで注目していただきたいのは、米国のGDPの約70%は消費で構成されている点です。ここから言えることは、世界のGDPの25%×米国の消費割合70%=17.5%、つまり世界のGDPのうち17.5%ほどが米国の消費でもっているということです。
 米国景気が悪くなれば、当然米国における消費は落ち込むことになります。そうなると、世界のGDPの17.5%に相当する消費が落ち込めば当然、世界中に大きな影響を与えることになりかねません。
 現在、この消費に大きな影響を与える問題として「財政の崖(フィスカル・クリフ)」が指摘されています。財政の崖とは、ブッシュ前政権時代から段階的に導入された社会保障税の減税や所得減税などが2012年末で期限切れとなり、また2013年初めに国防費を中心とした連邦予算の強制削減も開始されることで、緊縮財政が引き起こす問題です。減税などの期限が切れれば、増税となるわけですから個人消費が減少するおそれが指摘されています。また、予算の強制削減により、公共事業を中心に政府の投資が減少する可能性も指摘されています。
 もしこうした状態が生じたらどうなるか。もう想定できますよね。米国のGDPに大きなマイナスの影響を与える可能性があるわけです。そうなれば、世界経済にも大きな影響がでてくるといえます。さらに言えば、米国債の格付けにも影響がでてくるといえます。
 米議会予算局によれば、この通り行くと2013年上半期には年率換算で▲2.9%になるという予測も立てられています。この問題が解決するのか、また進展があるのかには注目して見てください。新聞では過去のGDPの推移が見れます。四半期ごとの年率換算した成長率が記載されています。現状、成長率は低下しています。今後のGDP指標にも要注意です。財政の崖の結果は、来年のGDP統計に表れることでしょう。

<国内総生産(単位:実質年率%)>
2009年▲3.1 2010年2.4 2011年1.8 2012年1〜3月2.0 2012年4〜6月1.7


●雇用−非農業部門雇用者数
 米国の経済指標で株式や為替に最も大きな影響を与えると言ってよい指標として、米国雇用統計があります。米国の雇用統計とは、毎月第一金曜日に発表される米国労働市場の統計であり、失業率や非農業部門雇用者数などが発表されます。米国において、この雇用統計の中で最も重要視されるのが非農業部門雇用者数。非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿をもとに算出されるもので、自営業者や農業従事者を含まない雇用者がどの程度増減したかを見る指標になります。この非農業部門雇用者数ですが、景気回復の目安と言われるのは、この指標が毎月+15万人以上となったとき。つまり毎月発表される統計数字が15万人を上回る雇用者数の増加かどうかが一つの目安になるわけです。為替や株式市況においては、15万人という数字以外に、予想されていた数字を上回ったか下回ったかどうかという点も重視されます。予想数字を上回った場合は、ドルが買われ円が売られる、つまりドル高円安になります。一方予想数字を下回った場合には、ドル安円高になります。
 2012年8月の非農業部門雇用者数は、予想12万5000人に対し、実際は9万6000人。大幅に予想を下回った結果、ドル安円高につながりました。15万人よりも少なかったわけですから、当然、先行きの経済情勢も懸念される状況となったわけです。その結果、量的緩和第三弾(QE3)と呼ばれる、金融緩和政策がとられることになりました。
 日経新聞を見ると、この非農業部門雇用者数は、雇用と記載部分の真ん中に掲載があります。過去との比較ができるようになっています。この数字を追うだけでも、米国経済が良好なのか悪化しているのかを判断する材料にすることもできます。ただし、その場合には、短期間での判断は禁物です。ある程度の長めにみて、減少傾向なのか増加傾向なのかを把握する必要があります。

<非農業部門雇用者数推移(単位:万人)>
2012年1月27.5  2月25.9 3月14.3 4月6.8 5月8.7 6月6.4 7月16.3 8月9.6

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今回は、米国景気指標部分の「国内総生産」及び「非農業部門雇用者数」を見てきました。米国は何と言っても世界第一位の経済規模を誇る国。米国の経済動向はあらゆる側面で世界経済に影響を与えますから、見ないわけにはいきません。
この他にも、重要な指標はたくさんあります。まずは日経新聞の月曜日、祝日の場合には火曜日の新聞を見て何が載っているのかを把握しましょう。そしてご自身でも一つ一つの指標がどんな意味をもつのか調べてみましょう。
ここに記載の指標は、新聞の一面や三面などにも出てくる指標になります。是非注意して追ってみてください。統計数字がわかれば世界を見る目も変わってくると思います。是非毎日読む癖をつけ、一日一個でもいいので、どんな指標があるのか調べてみてください。






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